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海を知る者が、静かにすすめる一杯
名護市・守良屋(すろーや)の沖縄そば
海に出ない日は、風を読む。
潮の流れを想像し、空の色を確かめる。
自然の中で過ごす時間は、派手ではない。
しかし、確かな充足がある。
だからこそ、海のあとに食べるものもまた、静かな一杯であってほしい。
観光でこの地域を訪れる方から、よく尋ねられる。
「この近くで、落ち着いて食事ができる沖縄そばのお店はありますか?」
そのとき、私は迷わず名前を挙げる。
守良屋(すろーや)。
〒905-0024 沖縄県名護市許田380。
主要な観光動線の近くにありながら、店構えは穏やか。
古民家風の外観が、訪れる人の心をやわらかく迎えてくれる。
喧騒から一歩離れた空気。
大人が安心して腰を下ろせる、静かな空間だ。
出汁に感じる誠実さ
守良屋の沖縄そばは、カツオを中心とした魚出汁。
透明感があり、軽やか。
それでいて、味わいは薄くない。
強い豚骨で押し切るタイプではなく、
出汁そのものの旨味を丁寧に引き出している印象だ。
一口目はやさしく、
二口目で深さを感じる。
そして食べ終えたあと、静かな余韻が残る。
化学調味料を使用していない点も、安心感につながる。
素材本来の味を大切にしている姿勢が伝わる。
自然と向き合う時間のあとに、
こうした誠実な一杯はとても心地よい。
生ショウガという上品な選択
沖縄そばには紅しょうがが添えられることが多い。
しかし守良屋では、生ショウガの千切りが用意されている。
魚出汁に対して、紅しょうがはやや主張が強くなる場合がある。
酸味が前に出てしまうこともある。
一方、生ショウガは香りで支える存在。
出汁を引き立て、全体の調和を保つ。
この控えめな選択が、店の雰囲気ともよく合っている。
余計な装飾を加えず、自然なバランスを大切にしている印象だ。
大人の食事は、足し算よりも引き算。
その美学を感じさせる工夫である。
おすすめは本ソーキそば
今回いただいたのは「守良そば」。
三枚肉とソーキの両方が楽しめる、バランスの良い一杯だ。
しかし、率直に言えば、
より印象に残ったのは本ソーキそばだった。
本ソーキは柔らかく、味付けは穏やか。
濃すぎず、薄すぎず、出汁の味を壊さない。
肉の存在感はあるが、主張しすぎない。
スープとの一体感が美しい。
初めて訪れる方には、本ソーキそばを勧めたい。
見た目の満足感もあり、味の完成度も高い。
食後の満足度が自然と高まる一杯だ。
麺についての率直な感想
麺はやや固めで、軽くちぢれがある。
しっかりとした食感で、出汁との絡みも良い。
ただ、個人的な好みとしてはストレート麺が好きである。
そのため、評価は★★★★☆とした。
これは味の問題ではなく、あくまで個人の嗜好。
全体としての完成度は高いと感じている。
空間がもたらす落ち着き

店内は木の温もりが感じられる空間。
過度な装飾はなく、静かに時間が流れている。
観光地の飲食店にありがちな慌ただしさは少ない。
席に座り、落ち着いて食事を楽しめる。
女性ひとりでも入りやすい雰囲気。
カップルやご夫婦の食事にもよく合う。
大人の旅行にふさわしい空気感だ。
レンゲは用意されておらず、
丼を手にしていただくスタイル。
それもまた、自然体で心地よい。
メニュー(2026年2月25日現在)
守良そば 1,150円
沖縄そば 1,050円
本ソーキそば 1,200円
てびちそば 1,150円
ジューシー 200円
観光地としては穏やかな価格帯。
名護市でゆったりと食事を楽しむには、十分に納得できる内容だ。
大人の旅に似合う一軒

沖縄そばは数多く存在する。
その中で守良屋は、派手さではなく「静かな完成度」を大切にしている店だと感じる。
強い個性で記憶に残すのではなく、
食後に心地よい余韻を残すタイプ。
自然を楽しんだあと、
あるいは落ち着いた時間を過ごしたいとき、
この一杯はよく似合う。
観光で訪れる方に、私はこう伝えたい。
「派手ではないが、丁寧に作られた一杯があります」と。
★★★★。
だが、姿勢は五つ星。
静かな大人の時間に寄り添う沖縄そば。
それが守良屋である。
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